歯周病についての知識を深めましょう
「歯ぐきの腫れ」や「歯ぐきからの出血」はありませんか? 最近、口臭がきつくなり、歯が浮く感じや歯のグラつきなど、変わったことはありませんか?
こんな症状は歯周病が疑われます。日本人の40代以上の方の7割が予備軍またはすでに発症しているともいわれるくらい蔓延している歯周病は、成人が歯を失う原因の第1位です。そこで、歯周病についての知識を得て、治療や予防につなげましょう。こちらでは、お口全体を考慮した診療を行う大分市中央町の歯医者「医療法人 おの歯科医院」が、歯周病の基礎知識についてお伝えします。
歯周病とは?
歯に付着する歯垢(プラーク)や歯石の中に潜む細菌の影響で歯を支えている歯ぐきなどのまわりの組織が炎症を起こします。腫れや出血から始まり、そのまま治療しないと歯を支える顎の骨が溶かされていき、やがては支えを失った歯が抜けてしまうのが歯周病です。
歯周病の進行について
歯周病は歯肉が炎症を起こしている「歯肉炎」と歯を支える顎の骨にまで炎症が進んでしまった「歯周炎」に分けられ、歯周炎もその段階によりいくつかに分けることができます。歯周病の進行のひとつの目安は歯と歯ぐきの溝(歯周ポケット)の深さで、進行とともに深くなっていきます。
歯周病の段階 | 症状 |
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初期![]() |
歯ぐきが軽い炎症を起こし始めた状態です。ブラッシングのときに出血することはありますが痛みなどの自覚症状はまだほとんどありません。 【歯周ポケット】1~4mm程度 |
中期![]() |
歯を支える歯のまわりの組織や顎の骨が溶かされ始めた状態です。歯ぐきの腫れや口臭が気になりだし、冷たい物がしみるなどの自覚症状が現れます。 【歯周ポケット】3~6mm程度 |
重度![]() |
歯を支える顎の骨の半分以上が溶かされた状態です。歯が大きくグラつき、出血や口臭がひどくなります。放っておくと抜け落ちてしまうこともあります。 【歯周ポケット】6mm以上 |
歯周病は怖い病気です
歯を支える組織が壊れてしまう歯周病。どんなに歯が健康でも、どんなにきれいで精巧な人工歯を装着しても、土台となる歯ぐきが健康でなければ歯を維持することはできません。歯は1本でも抜けると、その歯を支えていた顎の骨が痩せていきます。するとまわりの歯のバランスがくずれ、お口全体の咬み合わせにも悪影響を与えてしまいます。
失ってしまった歯の機能を補うための治療で注目されているのがインプラント治療です。これは顎の骨にインプラント(人工歯根)を埋め込んで、その上に被せ物や入れ歯を装着する方法です。その場合、顎の骨がしっかりしていないとインプラントを埋め込むことができません。つまり歯周病で痩せてしまった顎の骨や歯ぐきのままでは治療できないのです。
こんな症状があれば要注意です
初期段階の歯周病には自覚症状がほとんどありません。そのため「サイレント・ディジーズ(静かに進行する病気)」ともいわれ、気づいたときにはかなり進行しているのです。次のような症状がありましたら歯周病が疑われます。当てはまる項目が多いほど歯周病にかかっている可能性が高いので、お早めにお口全体の総合診療を行っている大分市中央町の歯医者「医療法人 おの歯科医院」にご相談ください。
- 歯ぐきが赤く腫れている
- ブラッシングするときに出血する
- 起床時に口の中がネバつく
- 歯ぐきがムズかゆい・痛い
- 口臭が気になる
- 歯ぐきが下がり歯が長くなったように感じる
- 硬い物が咬みにくい
- 食べ物が挟まりやすくなった
- 歯がグラつく
歯周病はさまざまな全身疾患とも関連しています
歯周病はお口の中だけの病気ではありません。歯周病菌が血液を介して全身にめぐることによりさまざまな全身疾患を引き起こすことがあるのです。お口の中の歯周病菌が増えると歯周病菌だけでなく歯周病菌が産生する毒素も血管に入り込みやすくなります。すると血栓を起こしやすくなり動脈硬化などを誘発し、心疾患や脳梗塞などを招くことがあるのです。
また糖尿病と歯周病は相互作用があり、歯周病を治療すると糖尿病の血糖値の数値が改善することがあります。反対に、糖尿病を悪化すると歯周病も悪化しやすい・発症しやすいなどが報告されています。免疫力が低下している糖尿病の方は、とくにお口のケアが必要です。
お口まわりの機能が低下すると飲食物や唾液が食道ではなく気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)を起こしやすくなります。歯周病があると誤嚥の際に歯周病菌が気管や肺に入ってしまうので、抵抗力が低い場合は気管支炎や肺炎を誘発してしまいます。ほかに妊娠中の歯周病も注意が必要です。妊婦さんが歯周病を悪化させてしまうと、早産や低体重児出産のリスクが高まってしまうからです。
≪PICK UP!≫ 咬み合わせと歯周病の関係について
歯周病が部分的に悪化している場合、その原因が咬み合わせの不具合によって起こっていることがあります。これを「咬合性外傷」といいます。一般的な歯周病と同じような症状で、初期の段階では物を咬んだとき少し痛みを感じる程度ですが、悪化すると咬めなくなるほど痛みます。そして歯ぐきが腫れたり、歯がグラついたりする歯周病特有の症状が現れるのです。この場合、歯垢や歯石を取り除くだけでなく、咬み合わせを整える必要があります。